"Product Details" 【この商品の特徴について】
1998年のオープン以来、20年以上にわたり日本のヴィンテージシーンを牽引し原宿を見守り続けてきた「ベルベルジン(BerBerJin)」。
そんなベルベルジンのお直し専門店として2009年にスタートした直し屋ベルベルジン。
直しと並行して続けていたオリジナルアイテムの製作は、服の構成と構造を理解したモノづくりがコンセプト。
自ら縫製する人にしか作れない着眼点、縫製、構成を具現化するプロダクトは唯一無二です。
コストを下げる事など考えない妥協なき物作り。
布はもちろんですが、糸や付属パーツの1つ1つにまでこだわっています。
今できる一番を表現しますので袖を通していただければ違いがお分かりいただけると思います。
初代の発売から5年。
マイナーチェンジを続け、三作目となる「DECK3」が完成しました。
これまでのモデルと何が変わったのか?
見た目だけで言いますと右のバックポケットに新タグが付きます。
それ以外はっきり申しまして私以外の誰も分からないような変更です。
生地はいつものデニム。
このデニムパンツを考えている時に普通のデニムでは性能面で難点が多い。
ストレッチでは無いんだよなあ〜と悩んでいた時に生地屋さんの展示会で出会った国産デニムです。
弱テンションで織られるこのデニムは運動性があるところが魅力です。
コットン100%でストレッチではありません。
いわゆるデニムのようなバリバリで、ギシギシな感じでは無く、穿き心地の良いデニムです。
洗濯後のパリッと感はあるんですが着用感が柔らかいのが特徴です。
原材料のコットンはアメリカ製。それを日本の生地屋さんが織っています。
世界的に見ても日本のデニム作りは非常にレベルが高いです。
日本とアメリカの融合で非常に気に入っております。
縫製糸は当店特注で制作しているグレーの綿糸です。
縫製箇所によって糸の太さを変えているのが地味ですがポイント。
ボタンも当店特注品で無刻印のブラックドーナツボタン。
ダール加工のブラックは使い込む事で下地のカッパー系合金が顔を出します。
これまでは5ボタンフライでしたが、今作からボタン数を減らしまして4ボタン構成にしました。
大戦風とかではなく、あくまでも実用的に考えてです。
当店ズボンの特徴としてトップボタンと同じサイズでボタンフライを構成しています。
男性の指は太いので大きいボタンの方が使いやすいからです。
資材へのこだわりはもちろんですが、このデッキパンツ最大の特徴は構成です。
このパンツを作るきっかけは10年以上続けたジーンズの修理屋の経験からでした。
120年以上前に出来たジーンズの原型。
戦後40年代の後半には現代にも続くジーンズの基本型はもう完成しています。
修理屋と言うのはジーンズの病院です。
クリニックではなく、野戦病院と言うのが正しいかと思います。
そこに持ち込まれるジーンズは穿く人が違うのでもちろん壊れ方もさまざま。
ではありますが、大きく分ければ同じように壊れていました。
昔の人が作った雛形を使い続けたツケとでも言いましょうか?
男性はセンスの悪い人が多いのでファッションに安全性を求める傾向が高いと思っています。
もちろん個性を爆発させてる人もいますのであくまでも一般層での話です。
ジーンズと言うものがここまで日常生活に浸透した理由。
それは長きに渡り全世界で愛用され続けた最もハズレのない長ズボンだから。
これがマーケットにジーンズが今でも溢れ続けてる理由だと思います。
新しい物を作り出す能力のない人達が売る為に作り続けた結果でもあります。
そこで修理屋にしか作れないデニムパンツの「今」を作ろうと思って作り出したのが初代デッキパンツです。
構想から言うと7年はかかったような記憶があります。
初代を発売して5年は経ちますのでこのズボンは12年ほど足掻き続けている当店なりの長ズボンの形です。
私はテストから含めるともう3本は捨てました。
壊れたからではありません。色がスカスカになったのと、着用毎に洗っても必ず臭くなるからです。
これが物の寿命だと考えています。
デニムが切れるよりも前に、糸が切れる事を狙っていますので販売個体でステッチ切れは数本ありました。
壊れ方も考えて作っていますので狙い通りの結果です。
最もこだわったの構成が結果となっています。
安価に、短時間で修理できる構造こそ次世代に繋ぐべきデニムパンツのあり方。
これが修理屋時代に目指した当店なりのデニムパンツの道。
普通に穿いて、洗っていればほぼ壊れません。
その理由は圧倒的に少ないパーツ数。
縫製箇所と言うのは生地が重なり、大きなストレスとなります。
特にデニムパンツは巻き縫いと言う生地が4枚重なる縫製が多いんですが、これが運動性も下げる原因でもあります。
このパンツは全ての箇所に最小限の重なりしか生じないように作っています。
今作ではさらに重なりを減らす為お尻の縫製も当店のカーゴパンツレベルまで簡易的な縫製に変更しました。
長らく愛用してる自分のカーゴパンツも壊れないと言う結果からの採用です。
とにかく運動性能を高め、ストレスを減らしたデニムパンツ。
お尻のバックヨークが無いのも特徴です。
この部分はお尻が大きくて、ウエストの細いアメリカ人が作り出した構造だと考えています。
バックヨークは布目を変えて、動きが出るようにしてる。よく考えた構造だと思います。
ですが、それを縫い合わせる縫製が巻き縫いですからけっきょくは生地の重なりを増やし、運動性を下げる原因となっています。
しかも縫製がチェーンステッチでぎゅうぎゅうに引っ張りますのでデニムの密度を上げていきます。
このパンツにはバックヨークがありません。
ウエストのシェイプは緩めにしてサイドの作りでカーブの調整をしています。
ウエストくびれ型ズボンではありません。腰で引っ掛けて穿くようなイメージです。
リーバイスでは501と505で腰回りの作りが違います。
どちらかと言えばこのパンツは505のような平たい腰回りと想像していただくとイメージがしやすいかもしれません。
フロント構成でボタンフライの理由は修理が簡単だからです。
ボタンが抜けたらベースを補強し、ボタンを打てば終わりです。
緩めのウエストのカーブは各所の説明をしないと完結できません。
まずフロントポケット。
当店の長ズボンは全てがパチポケです。
パチポケってのは外付けのポケットの事です。
これはジーンズ修理で非常に多かったポケット口の壊れからそうしています。
縮むデニム、ポケット口のカーブ、縮率の違う袋布、狭いポケット口、そこに男性が手を入れる…壊れない理由が1つも無い。
この部分の修理を考えたらこんな構造は無しです。
そもそも使いにくいし、ポケットとして容量が少なすぎる。
洗濯後も乾きにくいのでダメです。
当店のプロダクトは洗濯後に乾くスピードの事も考えて作っています。
バックポケットはもちろん、フロントポケットもパチポケである。
隠しリベットを打つような愚かな事もしておりません。
天然繊維のデニムと金属の組み合わせは最小限にするべきですから。
ポケットの付け位置、大きさはマイナーチェンジで毎回変えており、今作が最も大きいポケット。
ストレスのかけたくないアウトシームには余計なパーツを1つも入れずに作っています。
この方法でデニムパンツを作る人はほぼいないでしょう。
ズボンのウエストはカーブしています。
ウエストベルトに流れるアウトシームはギリギリまでセルビッチを使い、カーブ部分だけロックミシンでほつれ止め処理。
片返しではなく、セルビッチを割った状態でベルトに入れるので重なりは最小限となります。
これが壊れにくいポイントであり、腰回りを最小限のストレスに仕上げるミソです。
縫製は全てシングルステッチですから無駄な糸が無いので軽量化もできます。
チェーンステッチとは量産都合で使われた縫製方法。
100年以上前のジーンズ原型は強度最優先。極めて狭いピッチで縫われたシングルステッチです。
当店では細かいピッチでは縫いません。これは修理する時に簡単に直す為にです。
細かいピッチですと修理のバラし途中で生地が切れる事があります。
物作りと言うのは過去の作り手と愛用者が残したデータを使って進化させる事だと思っています。
これはジーンズではありませんが、私なりのデニムパンツであり、その正統派進化系だと思っています。
このズボンは日常着であり、作業着にもなります。
運動性能が高いのでバイク屋さんや車屋さん、屋外作業の多い方の作業ズボンにもおすすめです。
少しでも販売価格を抑えるためにこのデニムは使い続けるからと前もってまとめ買いしておきました。
制作コストは1円もケチらずに少しでも販売価格を圧縮。これがうちなりの企業努力です。
当店では定番品として同じ物を作り続けても売れません。
お客さんは増えないし、そもそもプロダクトが壊れないので必要にならないからです。
そんな中でもマイナーチェンジを繰り返し、定番品に近い形で作り続けるデッキパンツです。
"Staff Voice" 【着用スタッフの感想や印象について】
着用スタッフ 市村 身長175cm 体重75キロ
XLサイズを着用しております。
とにかく履いてみれば分かる絶妙なシルエットと、最高の履き心地の素材です。
気持ちよくて毎日履きたくなってしまう不思議なパンツです。
"Size Information" 【詳しいサイズ、素材について】
サイズL
ウエスト86cm 股上32cm 股下77cm 裾幅22cm
サイズXL
ウエスト91cm 股上32.5cm 股下77cm 裾幅23cm
コットン100%
洗濯によりウエストで2cm、股下で4cm程度の縮みが発生します。
上記の数値は未洗い状態となっております。
日本製